あらゆる害虫に対応した駆除方法・予防策を紹介

2025年9月
  • 忍び寄る吸血鬼トコジラミの正体

    害虫

    最近、ニュースやインターネットでその名を耳にする機会が急増した「トコジラミ」。かつては南京虫(なんきんむし)とも呼ばれ、一昔前の害虫というイメージがありましたが、今、再び私たちの生活を脅かす存在として猛威を振るっています。この不快な吸血害虫の正体と生態を正しく理解することは、被害を未然に防ぎ、万が一発生してしまった際にも冷静に対処するための第一歩となります。トコジラミは、カメムシの仲間に分類される昆虫で、体長は成虫で五ミリから八ミリ程度。茶褐色で、空腹時は非常に扁平な体をしていますが、吸血すると丸く膨れ上がります。彼らは完全な夜行性で、昼間はベッドのマットレスの縫い目やヘッドボードの裏、壁紙の隙間、家具の継ぎ目といった、光の当たらない狭い暗がりに潜んでいます。そして、人間が眠りにつき、呼吸によって排出される二酸化炭素や体温を感知すると、闇の中から這い出してきて吸血活動を行うのです。トコジラミの恐ろしさは、その驚異的な繁殖力と生命力にあります。メスは一度の交尾で生涯にわたって産卵を続け、その数は数百個にも及びます。卵は一週間ほどで孵化し、幼虫も成虫と同様に吸血を繰り返して成長します。飢餓にも非常に強く、餌である血液がなくても数ヶ月以上生き延びることができるため、空き家などで生き延び、新たな入居者を待ち構えているケースもあります。かつて日本では、強力な殺虫剤の普及により一時期その姿をほとんど見なくなりましたが、近年のグローバル化に伴い、海外からの旅行者の荷物や輸入品に付着して国内に持ち込まれるケースが激増しました。さらに、従来の殺虫剤が効かない「スーパートコジラミ」と呼ばれる抵抗性を持った個体が出現したことで、駆除はより一層困難を極めています。彼らは不潔な環境だから発生するというわけではなく、どんなに清潔な高級ホテルでも、持ち込まれる可能性は十分にあります。この見えざる敵の正体を正しく知り、その存在を常に意識することが、現代社会を生きる私たちにとって不可欠な防衛策と言えるでしょう。