火傷のような跡とかゆみが突然現れた時、パニックにならずに適切な応急処置を行うことが、症状の悪化を防ぎ、回復を早めるための鍵となります。特に、やけど虫(アオバアリガタハネカクシ)の毒による皮膚炎が疑われる場合は、その後の対処が非常に重要です。まず、症状に気づいたら、何よりも先に、患部を石鹸やボディソープで優しく、しかし大量の水で十分に洗い流してください。これは、皮膚の表面に残っている可能性のある毒素「ペデリン」を、可能な限り除去するためです。この時、ゴシゴシと強く擦るのは絶対にやめてください。皮膚を傷つけ、毒をさらに広げてしまう可能性があります。泡で優しく撫でるように洗い、シャワーなどで念入りにすすぎましょう。次に、洗い流した後は、清潔なタオルで水分をそっと押さえるように拭き取ります。そして、患部を冷やすことが、かゆみや炎症を和らげるのに有効です。保冷剤や、氷を入れたビニール袋をタオルで包み、患部に優しく当ててください。ただし、冷やしすぎると凍傷になる恐れがあるため、適度に休憩を挟みながら行いましょう。そして、最も重要なのが「絶対に掻きむしらない」ことです。強いかゆみのため、掻きたくなる気持ちは痛いほど分かりますが、掻き壊してしまうと、水ぶくれが破れて中の体液が他の場所に付着し、症状がさらに広がってしまう(自家感作性皮膚炎)可能性があります。また、傷口から細菌が入り込み、二次感染を起こして化膿してしまうと、治りが遅くなるだけでなく、跡が残りやすくなります。市販のかゆみ止めを塗るという選択肢もありますが、症状が水ぶくれを伴うほど強い場合は、自己判断で薬を選ぶのは危険です。特に、やけど虫による皮膚炎には、抗炎症作用の強いステロイド外用薬が必要となることがほとんどです。できるだけ早く皮膚科を受診し、医師の正確な診断と、症状に合った適切な薬を処方してもらうことが、最も安全で確実な治療法です。受診するまでは、とにかく「洗い流す」「冷やす」「掻かない」の三原則を徹底してください。
症状が出た時の正しい応急処置と対処法