梅雨が明け、本格的な夏の到来と共に、蜂たちの王国は、その勢力を爆発的に拡大させていきます。春に女王蜂が産んだ最初の働き蜂たちが羽化し、巣作りや、餌集め、そして妹たちである幼虫の世話といった、すべての労働を担うようになるからです。女王蜂は、産卵という最も重要な仕事に専念できるようになり、巣の成長スピードは、春とは比較にならないほど加速します。働き蜂の数が増えるにつれて、巣はみるみるうちに大きくなっていきます。スズメバチの巣は、特徴的なマーブル模様の外皮に覆われ、夏の中頃には、バレーボールほどの大きさにまで達することもあります。アシナガバチの巣も、巣穴の数がどんどん増え、直径15センチを超える立派なものに成長します。この時期の蜂たちは、巣を拡大し、仲間を増やすために、大量の餌を必要とします。そのため、働き蜂たちは、一日中、巣と餌場を忙しく行き来します。私たちが、庭や公園で、蜂の姿を最も頻繁に見かけるようになるのが、この夏の季節です。そして、巣が大きくなり、仲間が増えるにつれて、彼らの「防衛本能」もまた、強くなっていきます。巣に近づくものに対しては、敏感に反応し、警戒行動をとるようになります。まだ、秋ほどの攻撃性はありませんが、巣を直接刺激したり、洗濯物を取り込む際に、うっかり巣を揺らしてしまったりすると、集団で攻撃してくる危険性があります。夏の時期に、家の周りで蜂の羽音が頻繁に聞こえるようになったり、同じ場所をしきりに出入りする蜂の姿を見かけたりしたら、それは、近くに巣が大きく成長しているサインです。この段階になると、もはや素人が手を出せるレベルではありません。巣がさらに巨大化し、手がつけられなくなる前に、速やかに専門の駆除業者に相談することが、安全を確保するための、最も賢明な判断と言えるでしょう。
夏、蜂の巣が爆発的に拡大する季節