家の中に侵入してくるアリを、どれも同じ「ただのアリ」だと思っていませんか。実は、日本家屋で問題となるアリにはいくつかの種類があり、それぞれ生態や好みが異なります。敵の正体を見極めることで、より効果的な駆除戦略を立てることができます。まず、非常に小さく、駆除が厄介なのが「イエヒメアリ」です。体長は二ミリほどで、黄色っぽい淡い褐色をしています。彼らの特徴は、家の中の壁の隙間や家具の裏など、暖かく湿った場所に巣を作ってしまうことです。雑食性で、砂糖などの甘いものだけでなく、油やタンパク質も好むため、キッチンのあらゆる場所に出没します。市販のアリ用毒餌が効きにくい場合もあり、プロでも手を焼くことがある難敵です。次に、庭などでよく見かける「クロオオアリ」です。体長は一センチ前後と大きく、その名の通り黒光りしています。巣は屋外の土の中などに作りますが、餌を求めて室内に侵入してきます。特に甘いものを好み、お菓子の食べこぼしなどによく群がります。体が大きいため、毒餌の効果は比較的出やすいとされています。キッチンでよく行列を作っている小さな黒いアリは、「トフシアリ」の可能性があります。体長は二、三ミリで、砂糖や蜜に強く引き寄せられます。巣に餌を運ぶ習性が強いため、毒餌(ベイト剤)による駆除が非常に効果的です。そして、近年、特に警戒が必要なのが、特定外来生物に指定されている「アルゼンチンアリ」です。体長は二・五ミリほどで、褐色。非常に攻撃的で繁殖力が強く、他のアリを駆逐してしまいます。家屋に大群で侵入し、食品だけでなく、電化製品の内部にまで入り込んで故障の原因になることもあります。もし、見慣れないアリが家の中で大発生している場合は、アルゼンチンアリの可能性も疑い、環境省のウェブサイトなどで特徴を確認し、専門家や自治体に相談することも重要です。敵の種類を知り、その弱点を突く。それが、アリ駆除を成功させるための第一歩です。
敵は誰だ?家に侵入するアリの種類と対策