チャバネゴキブリのメスは、大切な卵鞘を産み落とすにあたり、驚くほど慎重に、そして戦略的にその場所を選びます。彼女たちが求めるのは、天敵から身を守れ、孵化するのに最適な温度と湿度が保たれ、生まれた幼虫がすぐに餌にありつける、まさに「一等地」です。その場所を知ることは、効果的な駆除と予防を行う上で、極めて重要な情報となります。彼らが卵を隠す危険な場所は、私たちの家の、特にキッチン周りに集中しています。まず、最も警戒すべき場所が「熱源を持つ家電製品の周辺」です。常に熱を帯びている冷蔵庫や電子レンジの裏側や下、モーター部分は、冬場でも暖かく、彼らにとって最高の保育器となります。内部は構造が複雑で、まさに安全な要塞です。次に、「水回り周辺の暗く湿った場所」も、彼らの主要な産卵ポイントです。シンクの下の収納スペースは、湿気がこもりやすく、配管周りには無数の隙間が存在します。食器洗い機の内部や、ガスコンロの内部、そして意外な盲点となるのが、電気ポットや炊飯器の底の部分です。これらの場所は、暖かさと湿気、そして餌となる食品カスが豊富に揃っています。キッチン以外では、「家具の裏側や内部」も注意が必要です。木製の引き出しの裏側や、棚の継ぎ目、長年動かしていないタンスの裏などは、暗くて安全なため、格好の隠れ家兼産卵場所となります。そして、忘れてはならないのが「段ボール」です。保温性と保湿性に優れ、波状の隙間が無数に存在する段ボールは、彼らにとって五つ星ホテルとも言えるほどの快適な空間です。引っ越しや通販で届いた段ボールを家に長期間放置するのは、自ら彼らの繁殖拠点を提供しているようなものです。これらの危険な場所を把握し、定期的に点検・清掃を行い、ベイト剤(毒餌)を重点的に設置することが、隠された卵鞘を見つけ出し、孵化する前に叩くための最も効果的な戦略となります。あなたの家の安全は、これらの危険スポットをいかに管理するかにかかっているのです。