五月の晴れた土曜日の午後、私は自宅の庭で伸びすぎた生垣を剪定していました。しばらく作業を続けていると、耳元で重低音の羽音が響き、一匹の大きなハチが目の前を横切りました。そのオレンジ色と黒色の鮮やかなコントラストと、威圧感のある羽音に、私は思わず身をすくめました。これまでハチを意識したことはあまりありませんでしたが、その一匹が近くのキンモクセイの枝の中へと吸い込まれるように入っていくのを見て、そこに巣があるのではないかと直感しました。私は剪定ばさみを置き、少し離れた場所からその場所を観察することにしました。スマートフォンでハチの種類について調べながら、双眼鏡を取り出して確認すると、そこには直径五センチメートルほどの小さな、シャワーヘッドを逆さにしたような形の巣がありました。ハチの種類を特定するためのチェックポイントを一つずつ照らし合わせていくと、後ろ脚を長く垂らして飛ぶ様子や、巣の穴が剥き出しになっている点から、それがアシナガバチであることが分かりました。スズメバチのような球体型の巣ではなく、おとなしい種類だと分かって少し安堵しましたが、それでも小さな子供が遊ぶ庭に巣があるのは不安でした。さらに詳しく調べると、アシナガバチは毛虫や青虫を食べてくれる益虫としての側面もある一方で、巣を直接触ったり刺激したりすれば鋭い針で刺してくる可能性があるという記述を見つけました。その日の夕方、私は家族と相談し、今回は自分たちの生活動線に近い場所だったので、専門の業者に相談することに決めました。やってきた業者の方からは、早い段階で種類を見極めて無理に手を出さなかったのが正解だったと言われました。もし、あれがスズメバチの初期の巣だったら、不用意に近づくだけで大変なことになっていたかもしれません。ハチの種類を知ることは、単なる知識ではなく、自分の命や家族の安全を守るための実用的なスキルなのだと痛感しました。あのキンモクセイの枝で静かに営まれていた自然の営みは、私にハチという生き物への敬意と、正しい知識の重要性を教えてくれました。今では庭に出るたびに、まずは不自然な羽音がしないか、特定のハチの種類が頻繁に出入りしていないかを真っ先に確認するのが私のルーティンとなっています。自然は美しくも厳しく、適切な距離感こそが最大の護身術になるということを、あの日のオレンジ色の影は教えてくれたのです。自分で種類を特定できたことでパニックにならずに済み、結果として最も安全な解決策を選ぶことができました。これからも庭の小さな生態系を見守りながら、ハチという隣人と上手に付き合っていきたいと考えています。
庭で見つけたハチの種類を自分で特定した記録