家庭で最も遭遇したくない害虫の王様、ゴキブリ。その駆除を、自らの手で完遂することは可能なのでしょうか。答えは、「種類と状況による」と言えます。ゴキブリには、主に、屋外から侵入してくる大型の「クロゴキブリ」と、家の中で繁殖する小型の「チャバネ-ゴキブリ」がいます。まず、クロゴキブリの場合です。彼らは、主に屋外に生息しており、餌を求めて家の中に侵入してきます。そのため、遭遇するのも、一度に一匹か数匹程度であることがほとんどです。この場合、自分でできる対策は非常に有効です。目の前に現れた個体は、殺虫スプレーで確実に仕留めます。そして、最も重要なのが、侵入経路を徹底的に塞ぐことです。エアコンのドレンホースに防虫キャップを取り付け、換気扇のフィルターを設置し、壁や配管の隙間をパテで埋める。これらの物理的な対策と、ゴキブリ用のベイト剤(毒餌)を、玄関や窓際、キッチンの隅などに設置しておくことで、新たな侵入を大幅に防ぐことができます。しかし、相手がチャバネゴキブリの場合は、話が全く異なります。彼らは、一度家の中に侵入すると、冷蔵庫の裏や、コンロの中といった、暖かくて狭い場所を拠点として、爆発的に繁殖します。一匹見つけたら、その背後には何百匹もの仲間がいると考えなければなりません。この段階になると、もはや自分でできることには、限界があります。市販の燻煙剤を焚いても、薬剤が届かない隙間にいる個体や、硬い殻で守られた卵(卵鞘)には効果がありません。ベイト剤を置いても、プロが使うものよりは効果が弱く、巣を完全に根絶するまでには至らないことが多いです。もし、あなたの家で、小さくて茶色いゴキブリを、複数回見かけるようになったら。それは、もはや「自分で何とかしよう」という段階を超えている可能性が高いです。いたずらに時間と費用を浪費し、精神的なストレスを溜め込む前に、潔くプロの力を借りるという決断をすることが、結果的に、最も早く、そして確実な解決策となるのです。