日本の住宅地で最も頻繁に遭遇する社会性昆虫の一つであるアシナガバチですが、彼らの活動には厳密なカレンダーが存在します。アシナガバチの巣作り時期を正しく理解することは、不必要な刺傷事故を防ぎ、住まいの安全を維持するための第一歩となります。彼らの一年は、気温が十五度を超え始める三月下旬から四月上旬、冬眠から目覚めた女王蜂が一匹で活動を開始するところから幕を開けます。この時期、前年に交尾を済ませて越冬した女王蜂は、たった一匹で営巣場所を選定し、最初の数個の育児房を作り始めます。これがアシナガバチの巣作りの第一フェーズです。四月から五月にかけての巣は、逆さまにしたおちょこや、小さなシャワーヘッドのような形をしており、まだ働き蜂は一匹もいません。女王蜂は産卵、餌の確保、防衛のすべてを一人でこなす過酷な時期を過ごします。この段階で巣を発見できれば、駆除の危険性は最小限で済みます。しかし、六月に入り最初の働き蜂が羽化すると、巣の状況は劇的に変化します。女王蜂は産卵に専念し、働き蜂たちが巣の拡張と餌運びを担うようになるため、巣は急速に大きくなっていきます。七月から八月は活動の最盛期であり、働き蜂の数は数十匹に達し、巣も蓮の実を半分に割ったような特徴的な形状へと成長します。この時期のアシナガバチは非常に敏感で、巣の近くを通るだけでも威嚇行動を取ることがあるため、最も注意が必要です。九月に入ると、次世代の女王蜂と雄蜂が誕生し、巣の役割は終盤を迎えます。十月から十一月にかけて、新しい女王蜂たちは冬眠場所を求めて巣を離れ、残された働き蜂や旧女王蜂は寒さとともに寿命を終えます。つまり、アシナガバチの巣は一年限りの使い捨てであり、冬の間に空になった巣を再利用することはありません。このように、アシナガバチの巣作り時期は春の目覚めから秋の解散まで、気温の推移と密接に連動しています。私たちが対策を講じるべき黄金時間は、女王蜂が孤独に奮闘している四月から五月のわずかな期間です。このバイオリズムを知ることで、私たちは過剰に怯えることなく、自然の一部としての蜂と賢く折り合いをつけていくことができるようになるのです。
アシナガバチの巣作り時期と生態の全貌