「新築でピカピカの家に引っ越したばかりなのに、どうしてゲジゲジみたいな虫が出てくるの?」という悲鳴に近い相談を受けることが少なくありません。古い家ならまだしも、最新の気密性能を誇る新築住宅において、不快な虫の出現は住人にとって大きな精神的ダメージとなります。しかし、実は新築住宅こそが、特定の条件下でゲジにとっての理想的な「新天地」となってしまう罠が隠されているのです。その最大の理由は、建材に含まれる「残留水分」にあります。現代の住宅建築では、基礎のコンクリートや構造材の木材に大量の水分が含まれた状態で完成を迎えます。これらの水分が完全に抜けて建物が安定するまでには、入居から一年から二年程度の時間が必要です。そのため、新築からしばらくの間は、壁の内部や床下の湿度が非常に高く保たれやすく、これが湿気を好むゲジや、その餌となる微小な虫たちを呼び寄せる強力な磁石となります。また、建設中の環境も影響します。更地の状態から基礎を打ち、骨組みを作る過程で、周辺の土壌に生息していたゲジたちは一度住処を追われますが、建物が完成すると同時に、彼らにとっては「雨風をしのげる巨大なシェルター」が誕生したことになります。特に、庭の外構工事が未完了で土が剥き出しになっていたり、家の周りに工事用の資材や段ボールが放置されていたりすると、そこが絶好の侵入拠点となります。さらに、新築住宅は気密性が高い一方で、二十四時間換気システムのために必ず外部と繋がる開口部が存在します。ゲジは非常に平たい体をしているため、給気口や換気扇の僅かな隙間、あるいはエアコンのドレンホースなどを通って室内に容易に侵入してきます。新築であるがゆえに「清潔だ」という過信が、換気扇のフィルター設置を遅らせたり、網戸の僅かな浮きを放置したりする原因になり、結果として彼らの入室を許してしまうのです。この問題に対処するためには、まず「家を乾燥させること」を最優先に考えてください。新築から一年目は、晴れた日には積極的に全ての窓を開け、クローゼットや押し入れの中にもサーキュレーターで風を送りましょう。また、家の外周一メートル以内にプランターやゴミ箱、積み上げられた石などを置かないようにし、物理的な隠れ場所を奪うことが重要です。新築住宅でのゲジの出現は、建物が自然の生態系と調和を図ろうとしている「馴染みのプロセス」の一環でもあります。過度にパニックにならず、湿度のコントロールと隙間の管理という基本的な住宅メンテナンスを徹底することで、彼らは自然と「ここは住みにくい場所だ」と判断し、姿を消していくことでしょう。新しい住まいを本当の意味での聖域にするためには、目に見えない水分という罠を賢く管理する知恵が求められているのです。
新築住宅でゲジゲジが発生する意外な理由と環境の罠