「相談に来るお客様のほとんどが、あの虫を見た瞬間にパニックになりますが、私たちプロからすれば、彼らは非常に『誠実な隣人』なんですよ」と、害虫防除の第一線で活躍するエキスパートの川上さんは苦笑いしながら語り始めました。川上さんによれば、ゲジゲジみたいな虫、つまりゲジに対する一般的な嫌悪感は、その長い足と予想外の動きという「視覚的な情報」に過剰に反応しているだけであり、実害の有無で言えば、蚊やハエよりも遥かに安全な存在だと言います。プロの視点から見た正しい付き合い方の第一条は、「彼らがいる理由を冷静に分析すること」です。「ゲジは決して無意味な場所には現れません。彼らが家の中にいるということは、そこに従業員としての職務、つまりゴキブリの駆除という役割があるからです。もし彼らが急に増えたなら、それはあなたの家の見えない場所でゴキブリが大発生しているというアラート(警告)なんです」と川上さんは強調します。また、多くの人がやってしまう間違いが、目の前の一匹を殺虫スプレーで追いかけ回すことです。ゲジは体の一部、特に脚を自切(自分で切り離す)する能力を持っており、下手に攻撃すると、切り離された脚だけがいつまでもピクピクと動き続け、さらに不気味な光景を作り出してしまいます。川上さんは、「どうしても姿を見るのが耐えられないのであれば、殺すのではなく、長い柄の付いた虫取り網や、不要なプラスチック容器を使って外へ誘導してください。彼らは臆病ですから、少しの気流や振動でもすぐに逃げ出します」とアドバイスします。一方で、化学的な対策を望む声に対しても、川上さんは慎重です。「家の中に強力な薬剤を撒くことは、そこに住む人間やペットの健康にも影響します。それよりも、家の外周に粉末状の忌避剤を一本の線のように撒く『結界』を張る方が、侵入を防ぐ上では遥かにスマートで効果的です」と言います。インタビューの最後に、川上さんは現代人に向けたメッセージを残してくれました。「私たちは自然から切り離された無菌室に住んでいるわけではありません。ゲジゲジみたいな虫は、私たちの生活の隙間に必ず存在しています。彼らを敵と見なして絶滅を誓うよりも、彼らの生態を逆手に取って、自分たちの住まいの弱点を補修するきっかけにする。そんな心の余裕こそが、本当の意味での豊かな暮らしに繋がるのではないでしょうか」プロの言葉には、不快感を超えた先にある、生命の多様性への深い洞察が含まれていました。
不快害虫のプロが語るゲジゲジみたいな虫との正しい付き合い方